近年、大学入試難化による教育競争が著しく激化しています。そのため、早期から子どもに良質な教育を与えたいと考える人が増え、幼児教育の需要が高まっています。しかし幼児教育と一言で言っても、その内容は千差万別です。
幼児教育っていつから、どんな風にはじめるの?
そもそも意味あるの?
自宅でできる効果的な幼児教育の方法が知りたい!
今回はこんなお悩みを解決します。
本記事の内容
- そもそも、幼児教育ってなに?
- 幼児教育って本当に効果があるの?
- 幼児教育はいつからはじめるべき?
- 年齢別!幼児教育のはじめ方
幼児教育を適切に理解すれば、今日からでも、子どもの力をぐっと伸ばす工夫ができるようになりますよ。
幼児教育とは?
幼児教育とは、いわゆる小学校に上がるまでの年齢である「幼児」に施される教育全般を指します。文部科学省によれば、
幼児教育は,目先の結果のみを期待しているのではなく,生涯にわたる学習の基礎をつくること,「後伸びする力」を培うことを重視している。
幼児は,身体感覚を伴う多様な活動を経験することによって,生涯にわたる学習意欲や学習態度の基礎となる好奇心や探究心を培い,また,小学校以降における教科の内容等について実感を伴って深く理解できることにつながる「学びの芽生え」を育んでいる。
と意義付けしています。つまり、幼児教育とは
発達段階にあわせた遊び、運動、しつけを通して、「生きる力」の基礎を育成するもの
だということです。「生きる力」は文部科学省が教育のテーマとして掲げているように、小・中・高通して必要とされています。実際に大学受験の方式が大きく転換するのもこの力を養わせるためです。
幼児に適用されることから、もちろん幼稚園でおこなわれる教育も幼児教育の一環となります。保育園の基本は保育を中心としますが、近年ではさまざまな教育的取り組みをおこなっている園も増えており、早めに保育園に行かせたいと思う保護者も増えているようです。
ただし、「保活問題」と言われるように、保育園は就業や介護、出産など特定の理由がなければ入れることができません。そこで重要視されているのが、家庭での幼児教育なのです。
幼児教育の重要性とは?本当に効果があるのか?
幼児期の教育競争が過熱するなか、早期教育に待ったをかける声が出てきているのも事実です。たとえばフラッシュカードのような暗記系の訓練は、やり方を間違えると受け身になり、自主性を損なう可能性も指摘されています。それでも幼児教育に注目が集まり続けるのは、さまざまな研究でその重要性が明らかにされているからです。
今井,坊井(1992)によれば、
絵本の読み聞かせにおける「読者」としての多様な経験が、事後に行われた心情理解テストの心情場面において他者の心情を認知し、他者の心情に共感することを促進させるのに有効であったことを示唆している。
と読み聞かせの効果が示されています。
また、幼児が筆記具を操作することについて尾崎(2000)は
近位の運動から遠位の運動へと移行するという発達の原則が ,筆記具操作における上肢運動の発達の経過にもあてはまることが示された 。
と述べているように、幼児期の筆記具を持つ姿勢が与える指の運動への影響についても言及されています。またこの研究で、4歳の段階で指の動きの急激な増加がみられたことからも、幼児期の指先の訓練は一定の効果が認められるのではないでしょうか。
大切なのは、子どもの心を最優先にすること
早期教育で懸念されていることは、子どもが親の言いなりになってしまったり、自信をなくしてしまったりすることです。それらに共通することは、その教育に子どもが「楽しい」と感じる要素があるかないか、ではないでしょうか。上記のような絵本や運筆についても、子どもが「楽しい!」と思える取り組みであれば、子ども自身が遊び感覚で力を伸ばしていくことができます。
以上のことから、
知識を持って適切な教育をおこなえば、子どもの力をのばすことができる!
と考えられます。
幼児教育はいつからはじめればいい?
最初に述べた通り、「幼児教育」に範囲の規定はありません。つまり、早すぎることも遅すぎることもないのです。ただし、小学校入学段階で「小1プロブレム」と呼ばれるように、幼稚園との格差で子どもが困惑する場合があります。そうした勉強への意識付けをおこなうためにも、5歳になるまでにはじめておくことは、結果的に親と子ども両方の安心につながるかもしれません。
また、脳は生まれる前から急激に発達しています。そしてその発達過程においてどのような刺激を受けるか、というのはとても重要です。もちろん刺激の種類は発達段階によって変えなければ意味がありません。たとえば、小学生が「いないいないばあ」では笑わないように、その年齢に合った内容を提示しなければ脳が刺激とは判断しないのです。
結局、うちの子が今からできる幼児教育って何?!
最も効果が高い幼児教育の方法は、年齢(発達段階)に合わせた教具や教材を使うことです。最後にその方法を年齢別に紹介します。
年齢別!家庭でできる幼児教育の最適な方法
0歳
0歳から教育なんて・・・と思うかもしれませんが、赤ちゃんはお腹の中にいるときから振動を通じて音を聞いています。安心できるお父さん、お母さんの声を聴きながら徐々に言葉を覚えるのです。この時期にどれだけインプットできるかは、この後の言語能力の発達に大きく影響します。この時期の刺激は、とにかく「大人の声掛け」「スキンシップ」を大切にしましょう。
0歳児に適切な幼児教育
- ベビーマッサージなどの触れ合い
- 歌を歌う
- 読み聞かせ
- 指さしによる声掛け
- 感触を確かめる知育玩具
- 感情の反復
指さしによる言葉がけは、「これは〇〇よ」という風に物の名前を大人が指を指しながら赤ちゃんに伝えるものです。何もわかっていないように感じるかもしれませんが、赤ちゃんは外界に興味津々。繰り返すことで、まずは「単語=物」という理解をしていきます。
感情の反復も、同じように大人のその時の感情を反復したり、赤ちゃんの感情を代弁したりします。大人になると、普段は自分自身の感情を積極的に表現することが少なくなっているかもしれません。赤ちゃんに語り掛けることをきっかけに、大人のコミュニケーションも円滑になる効果もあります。
1歳
徐々に意思疎通がはかれるようになる1歳頃から、幼児教育を意識する家庭は格段に増えます。動きが活発になることで世界がひろがり、子どもがさまざまなものに興味を示す時期です。この時期に大切にしたいのは「手先の運動」と「言葉かけ」です。特に手先の巧緻性はその後の脳の発達に大きく影響すると言われています。
1歳児に適切な幼児教育
- 型はめパズル
- 絵本の読み聞かせ
- フラッシュカード
- お絵描き
- 英語の聞き流し
本格的な知育玩具や年齢に合わせた教具が増えるのも1歳頃からです。英語やフラッシュカードなどは、親の興味関心に合わせて選んでかまいません。必ずやらなければならないものではなく、親子が楽しんで「遊べる」幼児教育を目指しましょう。
2歳
2歳期は天才期とよばれるほど、できることがめきめきと増えてくる時期です。子ども自身が「言葉で伝えたい」「自分でやりたい」という気持ちが大きくなるため、イヤイヤ期といわれることもありますが、なるべく気持ちを尊重することで、さらに潜在能力を引き出すチャンスともなります。幼児教育においても、危険の少ないことはできる限り親が口出しせず、自由に活動させることが子どものやる気を育てます。
2歳児に適切な幼児教育
- パズル(2ピースから)
- めいろなどの線ひき
- しかけ絵本
- シールブック
- 大き目の積み木
2歳になると、「電車が好き」「アンパンマンが好き」などのように、興味が一つの方向に集中することがあります。子どもの「好き」を最大限に尊重して絵本やパズルなどを選ぶことも、言葉をしっかりと習得させる動機付けになるでしょう。
また、この時期から教材を使った運筆練習を始めると良いです。はじめは殴り書きで構わないので、細い線ではなく力強い線を書けるようにしておきましょう。本格的に鉛筆を使うようになるころには、上手に鉛筆を使いこなせるようになります。
3歳
言葉によるコミュニケーションが大部分になるものの、まだまだ安定しないのが3歳児の特徴です。「3歳が一番大変」と感じている家庭が多いとも言われています。この大変な時期にこそ、「運動」「集中力」を養うことがポイントです。静と動のメリハリをつけさせることで、生活習慣やリズムを身に着け、安定した精神を培うことができるでしょう。
3歳に適切な幼児教育
- 知育系の積み木(さまざまな形)
- おままごと
- パズル(ピースを増やしながら)
- メモリーゲーム(神経衰弱など)
- トランポリンなどの室内運動器具
「幼児教育」というと座っておこなうものをイメージしがちですが、運動は脳の発達そのものを促すため、知育には欠かせません。特に雨の日は外で遊具で遊ぶことができないため、子どももストレスがたまりがちになってしまいます。「動」の部分をうまく発散させ「静」につなげることで、心と体の両方をバランスよく整えましょう。
4歳
4歳は「天使」と称されることもあるほど、成長が顕著に感じられる年齢です。今までイヤイヤ期が酷かった子も、驚くほど素直で親の方が拍子抜けすることもあります。幼児教育も進めやすい時期ではありますが、そんな聞き分けの良いときだからこそ大切にしたいのは、「コミュニケーション」と「想像力・創造力」です。ついつい聞き分けが良いからと親の言いなりにさせたり、コミュニケーションを怠ったりしないようにすることが、子どもの成長を促すカギです。
4歳に適切な幼児教育
- はさみやのりなどを使った工作
- ドールハウスなどのごっこ遊び
- 数を学ぶ知育玩具
- ドミノ倒し
- ブロック系の玩具
コミュニケーション能力を培うには、ごっこ遊びが最適です。特にこの頃は2、3歳頃と違い、相手とコミュニケーションをとりながら進めることができるので、随分と幅が広がります。それと同時に数の概念を少しずつ教えるのも良いでしょう。
また、子どもの創造力は無限大です。はさみやのりなどは危険のないように見守りながら、丁寧に使う練習をしましょう。折り紙を使ったり、ごっこ遊びの延長として取り入れることもできます。
正しい幼児教育で子どもの力をもっとのばす!
ここまでで紹介した幼児教育は、必ずしもその時期に始めなければならないわけではありません。とにかくいろいろなモノに触れさせることで、遊びながら子どもの興味を探っていくことが大切です。また、興味が深いものは継続しておこなうことも必要です。
幼児期こそ正しい知識を持って、家庭で子どもの伸ばせる力を見つけてみませんか?
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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